◇ 天才マンは何回「ふっ」と言ったか? ◇

 天才マンの口癖と言えば「ふっ」である。私が知る限り、これほど「ふっ」を連発していたキャラは天才マン以外にいないが、結局何度「ふっ」と言っていたのか?
結果は以下のとおりである。

  セリフ 手書き 総発言数 ふっ 単独 割合 単割合
よっちゃん編 258 9 267 21 8 7.9% 3.0%
78〜82話 52 1 53 13 2 24.5% 3.8%
裏宇宙編 337 15 352 86 41 24.4% 11.6%
132〜136話 61 0 61 4 2 6.6% 3.3%
大宇宙編 129 21 149 71 20 47.3% 13.3%
837 46 883 195 73 22.1% 8.3%

   表の説明
 セリフ  :  天才マンがちゃんと写植された文字(手書きで無い字)で書かれたふきだしやモノローグでしゃべっているコマの数。
 手書き  : 手書き文字で何か言っているコマの数。手書き文字があっても、同コマにふきだし等がある時はセリフになるのでカウントせず。
総発言数: セリフと手書きを足した数。
  ふっ  :  「ふっ」と言った回数。セリフと手書きの中に「ふっ」が含まれるコマの数。
   単独  :  「ふっ」としか言っていないコマの数。
  割合  : 総セリフ数のうち、「ふっ」が含まれていた割合(小数点第2位で四捨五入)。
 単割合  : 総セリフ数のうち、「ふっ」としか言っていないコマの割合(上に同じ)。

※全て天才マンが天才マンとして正式に登場した56話以降の数です(親指グンジョーは含まれません)。



 天才マンのセリフが書かれたコマの総数883
 その内「ふっ」と言っていたのは195回その割合実に22.1%。
 数だけ聞いてもあまりピンとこないが、大雑把に言えばセリフのあるコマが10あれば、その内2コマは「ふっ」と言っていたことになる。よっちゃん編では7.9%と少ないが、次の生月天才として洋一の学校に転校してきた以降の地球編と裏宇宙編で一気に24%を越えている。大宇宙編に到っては47.7%だ。ちなみに裏宇宙編と大宇宙編の合間の132〜136話が6.6%と極端に少ないのは、136話「名探偵天才マン」の天才がずっと古畑任三郎の物まね口調でしゃべっていたのが原因(この回の天才はセリフ51コマに対し「ふっ」は1回でした)。


「ふっ」の変り種

 しかし天才マンは「ふっ」しか言っていなかったわけではない。「ふっ」にはいくつかのバリエーションがあるのだ。それは以下の6種類である。

 小さい「っ」が無い「ふ」……7回(単行本9巻の101話、P135。 102話、P142。 103話、P163。
            10巻の113話、P144。 12巻の135話、P107、108。 16巻の182話、P123)。
 漢字で「不」……6回(9巻 94話、P28。 96話、P58。 97話、P65。 99話、P99。 103話、P165。
              応用版の「不 正解」が102話、P150)。
 ため息とともに「ふ〜っ」……1回(9巻、97話、P64)。
 封筒の封を閉じながら「封」……1回(9巻、94話、P28)
 封筒を開けると便箋に書かれていたのは「ふっ」……1回(9巻、94話、P33)
 古畑の物まね時。ふーむの天才バージョン「ふっ 」……(12巻、136話、P119)


 「ふ」と「不」以外は各種1回のみ使用。そして殆どが裏宇宙編のトーナメント時、それも9巻に集中している(特に94話など「ふっ、不、封、手紙でふっ」と4種類の「ふっ」を披露している。同回でスーパースターマンが「お前『ふっ』しか言えねーのか?」と天才に文句を言っているがそれは大きな間違いである。この回ほど「ふっ」に応用をきかせた話はほかにない)。
 9巻といえばバトラーの「ラジャ」が一時期流行っていた巻だが、天才マンの中では「ふ」と「不」及び、変り種の「ふっ」を用いるのがブームだったようである。

 そして、上の変り種(便箋はのぞく)を加えたのが下の表。

  印字 手書き 総セリフ数 ふっ 単独 割合 単割合
よっちゃん編 258 9 267 21 8 7.9% 3.0%
78〜82話 52 1 53 13 2 24.5% 3.8%
裏宇宙編 337 15 352 99 51 28.1% 14.5%
132〜136話 61 0 61 7 3 11.5% 4.9%
大宇宙編 129 21 149 72 20 48.0% 13.3%
837 46 883 212 84 24.0% 9.5%


総セリフ総数883
「ふっ」と言っていたのは212回である。

更にまだ天才マンのキャラクターがいまいちできあがっていなかったよっちゃん編を除外し、78話「ラッキー クッキー 三人の転校生の巻〜」以降の数で集計しなおすと

  印字 手書き 総セリフ数 ふっ 単独 割合 単割合
579 37 616 191 76 31.0% 12.3%

となる。
セリフに「ふっ」が含まれる割合31%
「ふっ」としか言っていないコマは総セリフの
1割以上


以上が天才マンの「ふっ」についての調査結果であるがどうだろう。
あなたのイメージと比べて多かっただろうか?それとも少なかっただろうか?



    おまけの「フッ」 (かなりネタ的な文です)

 「フッ」――カタカナである。これが何なのかと言うと、単行本12巻に掲載されている136回ラッキーネットワークにて設立された天才マンファンクラブの会報のタイトルである。そしてその会報に載っていた天才マンからのメッセージではタイトルどうり「フッ」と発言している。 私は今回の天才の「ふっ」に対する調査をする前にこれを見て、「面倒くさいけど、やっぱりひらがなとカタカナは別々に数えないとなー」と思ったのだ。
 しかしである。本編中において天才マンがカタカナで「フッ」と言ったコマなど一つたりとも存在しなかった。

 「フッ」はラッキーネットワーク内の記事内でのみ使われ、しかもラッキーネットワーク内では本編で195回に渡って使用してきたひらがなによる「ふっ」は1回しか登場しなかったのだ。

 9巻 : 第96回(おやじの胸にとびこんでおいで!!)より、「フッ、いやだなぁ、姿形で女性を〜」
 11巻: 第118回(究極の超合金を捜せ!!)より、「フッ…上には上があるのだ!!」
 12巻: 第136回(「…フッ」第1号)より、「これからも応援してくれよっ!! …フッ!」

使用確認例は上記3つのみと少ないが、なぜラッキーネットワーク内に限って、すべて本編では一切言っていない「フッ」が多様されている。「ふっ」が用いられたのは127回目(究極頂上ライバル対決!! 勝利マンVS天才マン!!)の「ふっ…」のみ。

 なぜか?
 あくまで私の主観であるが、「ふっ」と「フッ」を比べた場合、ひらがなよりカタカナで「フッ」と言った方が、なんとなくスマートでカッコイイ印象を受けるからである。
 そのためラッキーネットワークという記事に、己の発言が文字として記されることになった際、文字としてより見栄えの良い「フッ」を用いたのだと思われる。
 天才にかかれば自分の意思でひらがなとカタカナを使い分けて発声するなど朝飯前、最初に会長から電話がかかってきた時も、その会話が記事に記載されるなどお見通しであったことは言うまでもない。

 これを読んで、「文字表記されるという理由でカタカナで『フッ』と言ってるんだったら、本編中も全部『フッ』で統一しろ」と思われる人がいるかもしれないが、それを要求するのは酷というものである。
 そういう肝心な所に気が回らないのが奴の紙一重な所 おそらく「フッ」は意識して使おうと思わなければ使えないのだ。127回だけ「ふっ」だったのも、ライバルとの対決話で気分が高まっていたせいであろう。
 意識的に日常生活で乱用しまくっている口癖を、常に意識してカタカナに変換して発音する。
 例を出すとずっと自分のことを「私」と言っていた人間が、普段の一人称を「あたし」へと言い換えるようなものである。これは結構疲れそうだ。

 殆ど意識しなくても口をついて出る口癖なのだから、意識せずに使えるひらがなの「ふっ」で良いのだ。
 そして本人はそのつもりでも、実際は100%クールで華麗な気障野郎として振舞えきれていない、ちょっと間抜けな所も天才マンの魅力の一つであると私は思う。


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